有限責任 あずさ監査法人
公認会計士 和久友子
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、政府は、2020年4月7日に東京、大阪等の7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、出勤者7割限といった外出自粛等を要請、16日には全国に範囲を拡大した。執筆時点では東京で新型コロナウイルス感染症の潜伏期間の目安である2週間が経過しているが、いまだ感染拡大が収束目処は立っておらず、5月6日までを起源とする宣言が延長となるのか予断を許さない状況である。
こうしたなか、すでにわが国において最も集中する3月期の企業決算・監査の時期に突入しているが、大幅に作業が遅延することが見込まれる。
金融庁は、4月14日に有価証券報告書等の提出期限の9月末までの一律延長を決定、15日には、金融庁が事務局を務める「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」(以下、「連絡協議会」という)が「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」と題した声明を公表した。
本稿では、こうした状況下で多くの企業が決算と監査作業の遅延により、スケジュールの組み直しが余儀なくされている状況と考えられることから、スケジュール変更を検討するにあたってのポイントを紹介することとしたい。なお、未曾有の事態でもあり、今後新たな法解釈や実務が形成されていくものと思われ、今後の動向に注視が必要であること、本稿の意見にわたる部分は私見にすぎないことを申し添える。
この記事のエッセンス
決算・監査作業の遅延により、スケジュールの組み直しが余儀なくされているところ、有報等の提出期限の9月末までの一律延長を踏まえ、会社法の決算スケジュールを見直し、定時総会開催日や招集通知の発送期限を調整し、決算・監査期間を確保することが望まれる。
決算・監査期間の確保をしてもなお、定時総会において計算書類等の報告ができない場合に備え、定時総会の延期についても想定しておく必要がある。
記事全文はこちらをご覧ください(旬刊経理情報2020年5月10日・20号(No.1578)Viewpointより)。
こちらも合わせてどうぞ→「コロナ禍がもたらす監査上の課題と対応:特に海外拠点に関する業務がネックに」
コメント