コロナは経理をどう変えるか②:決算・監査の常時化で真のリスクマネジメントを

Opinion

データセキュリティとガバナンスの重要性

 リモート環境におけるデータ漏えいリスクは日増しに高まっている。デジタルワークプレイスやデータベース、さらには電話会議やWeb会議への不正アクセス、そこから派生する機密情報の漏えい、内部情報のマスコミ等へのリークが増加することも予想される。リモート環境は決してセーフゾーンではなく、情報セキュリティへの対応には細心の注意が必要である。機密データのやり取りは暗号通信によることが求められるし、ファイルのやり取りにはパスワードを付与するなどの注意が最低限なされるべきだろう。

 さらに、昨今ではEUの個人情報保護に関する罰則付き法令(GDPR)や、中国におけるデータ持出規制など、各国のデータ保護規制に対応することが不可欠である。これらは、経理スタッフの問題というよりは、会社全体の情報管理戦略として取り組む必要があるが、とりわけ国を挙げてデータ保護に取り組んでいる中国とのデータのやり取りには(GAFAですらその商圏を拡大できないことからみても)細心の注意がなされるべきであろう。

 データを有効に活用するためには、有用なデータを作成したり、分析したりするだけではなく、データを外部の危険から守るための確固とした戦略が必要になる。情報漏えいリスクがどこに存在し、漏えい防止の対策が十分かといった観点から、組織的に業務環境や仕事のやり方を検証して、最新のセキュリティレベルを保持しなければならない。次々と生み出されるコンピューター・ウイルスやサイバー攻撃に対応するために、会社の経営プラットフォームに抗体を作り、リスク耐性を高めなければならない。

ガバナンスの実行を支えるインフラとして

 さて、2回にわたり「コロナは経理をどう変えるか」というテーマで私見を論じてきた。今回のコロナウイルスへの国家レベルでの対応をみていると、効果的な感染拡大防止に成功している国・地域の特徴は、強力なリーダーシップの下で、科学的な知見に基づき、迅速かつ適切に行われていたことのように思われる。これは、会社の経営においても同じではないだろうか。

 平時においては、現場へのエンパワーメント(権限移譲)や従業員の自主性というものに重きが置かれることがあるが、やはり有事における危機管理において最も重要なことは、適切な情報に基づきリーダーがトップダウンで最善の意思決定を行っていくことなのではないだろうか。国民の自由意思に基づいて、対策に関する局地戦を繰り広げているようでは、自然災害やパンデミックのような広域かつ想定外の危機には対処できない。

 昨今、コーポレートガバナンスという言葉に注目が集まっているように、企業内部のリソース(ヒト、モノ、カネ、情報)を最大限利用できているかどうかを監督・統制することがますます重要になって来ている。とりわけ、最適な意思決定を下支える経営インフラとして、セキュリティを含めた情報(データ)のガバナンスの重要性が高まっている。その中で、データを自由に利活用して効率的かつフレキシブルに仕事ができる環境を整備することでリスクへの耐性を高め、災害に負けない強いレジリエンスを実現することが求められる。そして、まさに経理こそが、そうした役割を担っていくことになるのではないだろうか。

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