5月28日、国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第16号「リース」の修正(「Covid-19-Related Rent Concessions: Amendment to IFRS 16」)を公表した。この修正は、リースの借手が、新型コロナウイルス感染症に関連した賃料減免(家賃免除や一時的な家賃減額など)を会計処理することを容易にするための手当である。
本修正(英語)は、こちらから閲覧することが可能である。また、企業会計基準委員会のサイトでも、本修正について周知しているので、あわせて確認されたい。
修正の概要
リースの変更に関する簡便法
本修正では、新型コロナウイルス感染症拡大の直接的な結果として生じた賃料減免が、リースの条件変更であるかどうかを借手が評価することを免除し、そのような賃料減免をリースの条件変更でないかのように借手が会計処理すること(簡便法)を認めている(46A項)。
この修正が適用されるのは、新型コロナウイルス感染症拡大の直接的な結果として生じた賃料減免のうち、2021年6月30日以前に期限が到来するリース料を減額するものなどとされている(46B項)。
なお、本修正は貸手には影響を与えない。
開 示
借手が上述の簡便法を適用する場合、以下を開示しなければならない(60A項)。
- 条件を満たすすべての賃料減免に簡便法を適用したこと、またはそのようなすべての賃料減免に適用されていない場合は、簡便法を適用した契約の内容に関する情報。
- 借手が簡便法を適用した賃料減免から生じるリース料の変動を反映するために、報告期間の純損益に認識された金額。
適用時期
2020年6月1日に発行するが、借手は本修正を発行未承認のあらゆる財務諸表(期中でも年度でも)に適用できる(C1A項)。
指定国際会計基準への指定へ(告示案)
5月29日、金融庁(日本)は、上記IFRS第16号の修正を受けて、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件(平成21年金融庁告示第69号)」の一部改正(案)を公表した。
IASBが2020年5月31日までに公表した国際会計基準を、連結財務諸表規則第93条に規定する指定国際会計基準とするためのもので、具体的には「令和2年5月28日公表 国際財務報告基準(IFRS)第16号『リース』」、すなわち上述の修正を指定国際会計基準に追加する提案を行っている。公布日より適用される予定である。
なお、意見募集は、2020年6月29日17時00分まで。
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