株懇、法務省QA更新を受け、継続会開催時の取締役選任議案記載例を改訂

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 去る5月29日に、全国株懇連合会のポータルサイト・株懇WEBにおいて、「継続会開催を予定する場合の取締役選任議案の記載例(改訂版)について」が公表された。

 5月28日に法務省「商業・法人登記事務に関するQ&A」が更新されたことに伴い、5月12日に公表した「継続会開催を予定する場合の取締役選任議案の記載例について」を改訂したもの。

法務省「商業・法人登記事務に関するQ&A」の更新内容

 法務省「商業・法人登記事務に関するQ&A」の更新については、Q2を以下のように修正したうえで、Q2−2、Q2−3を追加している。

 継続会開催を行う場合に、当初の株主総会で役員等を改選する必要があるときに、更新前は、「改選期にある役員等が辞任した上,その後任を選任する」方法のみを示していたが、更新後は、当該方法だけではなく、「改選期にある役員等の任期が満了するものとして,その後任を選任する」方法も可能であることを示している。


【Q2−1】【Q2】
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,定款で定めた定時株主総会の時期までに事業年度に係る計算書類等の作成が間に合わないため,当初予定した時期に定時株主総会を開催した上,役員選任の決議を行うとともに,会社法第317条による続行の決議を得て,計算書類の報告及び承認については継続会において実施することとした場合,改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期はどうなるのでしょうか。今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,定款で定めた定時株主総会の時期までに事業年度に係る計算書類等の作成が間に合わないため,当初予定した時期に定時株主総会を開催した上,役員選任の決議を行うとともに,会社法第317条による続行の決議を得て,計算書類の報告及び承認については継続会において実施することとした場合,改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期はどうなるのでしょうか。
【A】【A】
定時株主総会を当初予定した時期に開催し,役員選任の決議を行い,計算書類等の報告及び承認については継続会(会社法第317条)において実施することとした場合において,関係者の健康と安全を配慮しながら決算・監査の事務及び継続会の開催を準備するために必要な期間の経過後に当該継続会が開催されたとき(「継続会(会社法317条)について」参照)は,当初の株主総会と当該継続会とは同一の株主総会であると認められますので,この場合の改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期については,当該継続会の終結時までとなるものと考えられます。これは,継続会が開催されるまでの間に定款で定めた定時株主総会の開催時期が満了する場合であっても,同様と考えられます。定時株主総会を当初予定した時期に開催し,役員選任の決議を行い,計算書類等の報告及び承認については継続会(会社法第317条)において実施することとした場合において,関係者の健康と安全を配慮しながら決算・監査の事務及び継続会の開催を準備するために必要な期間の経過後に当該継続会が開催されたとき(「継続会(会社法317条)について」参照)は,当初の株主総会と当該継続会とは同一の株主総会であると認められますので,この場合の改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期については,当該継続会の終結時までとなるものと考えられます。これは,継続会が開催されるまでの間に定款で定めた定時株主総会の開催時期が満了する場合であっても,同様と考えられます。
もっとも,今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりQ2-1の例のように継続会を開催する場合において,当初の株主総会において役員等を改選する必要があるときは,継続会の開催までに相当期間を要することがあることから,当初の株主総会における決議(会社法第329条第1項)により,当初の株主総会の時点において改選期にある役員等の任期が満了するものとして,その後任を選任する方法によることも可能であると考えられます。
 また,同様に継続会を開催する場合には,改選期にある役員等が辞任した上,その後任を選任する方法によることも可能であると考えられます。
なお,この場合において,当初の株主総会の時点において改選する必要があるときは,改選期にある役員等が辞任した上,その後任を選任することが考えられます。  
<毎年4月1日から翌年3月末日までを事業年度とし,定時株主総会は毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集される株式会社の例>
 当初予定していた時期(令和2年6月30日)に定時株主総会を開催し,本株主総会の終結により任期満了する役員を再任する決議を行い,令和2年7月30日に継続会を開催した場合,現任の役員は継続会の終結をもって任期満了により退任すると考えられますので,当初の定時株主総会において再任された役員についてする役員の変更の登記の登記原因は,「令和2年7月30日重任」となると考えられます。
<毎年4月1日から翌年3月末日までを事業年度とし,定時株主総会は毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集される株式会社の例>
 当初予定していた時期(令和2年6月30日)に定時株主総会を開催し,本株主総会の終結により任期満了する役員を再任する決議を行い,令和2年7月30日に継続会を開催した場合,現任の役員は継続会の終結をもって任期満了により退任すると考えられますので,当初の定時株主総会において再任された役員についてする役員の変更の登記の登記原因は,「令和2年7月30日重任」となると考えられます。
なお,当初の株主総会における決議により,当初の株主総会の時点において改選期にある役員等の任期が満了するものとして,当該役員等を再任する決議を得た場合の役員等の変更の登記の登記原因は,「令和2年6月30日重任」となると考えられます。この場合には,株主総会の議事録に改選期にある役員等の任期が当初の株主総会の時点で満了する旨及びその後任を選任した旨が記載されている必要があると考えられます。 
また,当初の定時株主総会の日(令和2年6月30日)をもって役員等が辞任し,同日にその後任の選任の決議を得た場合の役員等の変更の登記の登記原因は,それぞれ「令和2年6月30日辞任」,「令和2年6月30日就任」となると考えられます。なお,当初の定時株主総会の日(令和2年6月30日)をもって役員が辞任し,同日にその後任の選任の決議を得た場合の役員の変更の登記の登記原因は,それぞれ「令和2年6月30日辞任」,「令和2年6月30日就任」となると考えられます。

【Q2-2】Q2-1のケースで,当初の株主総会における決議により,当初の株主総会の時点において改選期にある役員等の任期が満了するものとして,その後任を選任したときは,これらの役員の変更の登記はどのように申請すればよいでしょうか。

【A】 当初の株主総会の時点で改選となった役員等に係る変更登記は,当初の株主総会の日から2週間以内に行う必要があります(会社法第915条第1項)。そのため,継続会の開催前であっても,当初の株主総会の議事録を添付した上で,当該変更登記の申請をすることができるものと考えられます。このとき,当初の株主総会の議事録には,改選期にある役員等の任期が当初の株主総会の時点で満了する旨及びその後任を選任した旨が記載されている必要があると考えられます。

【Q2-3】Q2-1のケースで,役員(A,B,C,D及びE)のうち,当初の株主総会において,一部の役員(E)の改選が必要であるとして,その役員(E)が当初の株主総会の時点で辞任した上,その後任の役員(F)を選任するとともに,残りの現任役員(A,B,C及びD)の再選の決議をしたときは,これらの役員の変更の登記はどのように申請すればよいでしょうか。

【A】 当初の株主総会の時点で改選された役員(E及びF)に係る変更登記は,当初の株主総会の日から2週間以内に行う必要があります(会社法第915条第1項)。そのため,継続会の開催前であっても,当初の株主総会の議事録及び辞任した役員(E)に係る辞任届を添付した上で,当該変更登記の申請をすることができるものと考えられます。このとき,当初の株主総会の議事録には,新任の役員(F)が当初の株主総会の日をもって辞任した役員(E)の後任として選任された旨が記載されていることが必要です。
 なお,当該株主総会の議事録から,当該株主総会においてEが辞任する旨の意思表示をした旨が判明する場合には,別途,Eの辞任届を添付する必要はありません。
 再任された役員(A,B,C及びD)に係る変更登記を継続会の終了後に申請する場合には,当初の株主総会と継続会の双方について議事録を作成し,それらを添付して登記の申請をすることになるものと考えられます。
 なお,当該変更登記の申請の際に添付すべき株主リストについては,当初の株主総会において当該変更登記の申請に係る登記すべき事項が決議されていることから,当該決議に係る株主リストが該当するものと考えられます。


株懇記載例の改訂内容

 この更新に合わせ、株懇は「継続会開催を予定する場合の取締役選任議案の記載例」を改訂し、当初の株主総会の時点において「改選期にある取締役の任期が満了するものとして選任する」場合の〔記載例2〕の追加、設例の変更(「商業・法人登記事務に関するQ&A」【Q2-3】にあわせる)等を手当てしている。

 また、当初の記載例(辞任による方法の例)についても「法務省「商業・法人登記事務に関するQ&A」は、「当初の株主総会の議事録には、新任の役員(F)が当初の株主総会の日をもって辞任した役員(E)の後任として選任された旨が記載されていることが必要」としているが、〔記載例1〕に相当する議案(株主総会参考書類)が株主総会議事録に添付されることで差し支えない。」と追加している。

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