信託協会、新型コロナ下の株主総会対応について要望点を公表

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 去る5月14日に、一般社団法人信託協会から「新型コロナウイルス感染症の影響による株主総会対応について」が公表された。

6月総会対応状況の分析

 3月決算会社の総会対応状況を踏まえると(下表)、招集通知の発送日や株主総会開催日を後倒しさせることにより、大半の会社が6月中に株主総会を完了する意向があると分析する。

 その結果、①株主の議決権行使期間が短縮されること、②招集通知等の印刷、封入、発送や議決権行使集計の業務が短期間に集中することが想定されるため、「株主名簿管理人のみならず、印刷会社、封入・発送事業者、郵便局、議決権行使事務受任者等の業務遂行に大きな支障が生じる虞」があると指摘する。

発行会社等への要請事項

 そこで、まず【発行会社】に対しては、決算・監査スケジュールを踏まえ、以下のような対応を取ることの検討を要請する。

  • 監査スケジュールが後倒し、または監査の完了期日が未定となっている場合、議決権行使期間や十分な作業スケジュールを確保するために、基準日変更や継続会を開催すること
  • 株主総会日程を延期する場合、可能な限り早くその旨を情報開示すること
  • 例年どおりの日程で株主総会を開催する場合においても招集通知の発送前に WEB開示を実施すること

 また、2020年5月15日に公布・施行された会社法施行規則・会社計算規則の一部改正により、WEB 開示によるみなし提供制度の対象となる書類が拡充されたため、同制度を活用しつつ招集通知の発送・開示時期を適切に決定することや、「株主総会運営に係る Q&A」を踏まえ、株主へPC・スマートフォン等によるインターネット経由の行使を推奨することの検討を要請している。

 また、上記の基準日変更にあたって、発行会社が留意すべき点として、ケースによっては株主総会の基準日と招集通知の発送との間に一定期間を空ける必要があるため、必ず招集通知の発送を委託している株主名簿管理人等へスケジュールを事前に相談することをあげている。

 継続会の開催をする会社についても、定時株主総会で決議できなかった決議事項の継続会への審議延期(議決権行使集計を延長すること)は実務上難しいおそれがあるため、必ず議決権行使集計を委託している株主名簿管理人等へ事前に相談することを留意点としてあげている。

 なお、【機関投資家】に対しても、発行会社の対応が流動的となっており、招集通知の発送の遅れにより議決権行使期間が短期間に集中することが想定されることから、かかる状況を把握のうえ、適正かつ早期の議決権行使指図を行うことを要請している。

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